明日のテスト範囲をどうにか頭に叩き込み、紅茶が入った紙カップが空になったところで田中くんを見る。
真剣な表情だ。
「なに読んでるの」
ブックカバーを外して表紙を見せてくれた。
「財務諸表の読み方?」
「うん。今、兄貴の友達の税理士事務所でバイトしてるんだ。簡単な事務処理しかやってないけど、ちょっと興味あって」
なんだか難しい話だ。
そっか、バイトって税理士事務所だったんだ。
「凄い」
「そうでもないよ」
「いやいや私は学校の授業で手一杯なのに、新しいことを学んでるなんて田中くん最強だよ」
「そういえば勉強教えるって言ってたっけな」
「うん、お願いします」
店内の時計の針が12時を指していた。
「もっと居たいけど、そろそろ帰ろうかな」
「送る」
「でも、弟さん…」
「あいつは男だから平気だよ」
キャップを深めに被ると私のトレーを片手で持ち上げて、自分のカップと一緒に運んでくれた。
よく見たら飛粋くんと色違いの白色のスエットで微笑ましかった。


