必ず、まもると決めたから。


今から電話する?起きてるかな?


「くくっ、」

田中くんは口元に手を当てて、堪えきれない笑いを漏らした。


「え、面白い?なにが?」


「はははっ、」


幸いにも店内はほろ酔いの社会人の声が響いていて、笑い声は掻き消された。

目を細めて笑う田中くんを凝視する。

珍しい彼の姿を目に焼き付けておかないと。


いつもは髪の毛に隠れて見えなかったが、彼の左耳にはスペード型のピアスがついていた。

私もピアス空けようかな…。



「そんなに面白かった?」

「いや、別に。冷めるから早く食えば?」


笑い終えた田中くんは平然とそう言ってきた。


「なにそれ、気になるんだけど…まぁ温かいうちに食べないとね」



好物のアップルパイを一口かじる。
ふんわりと口内にとろける甘さが広がった。


再び本を読み始めた田中くんの隣りで頬張るアップルパイは格別な気がした。