必ず、まもると決めたから。


今のは隣りに座れでいいんだよね?

店内に入るとハンバーガーの食欲をそそる香りがして、定員のお決まりの「いらっしゃいませー」が聞こえた。

窓際に沿うように設置された机の前に並べられた椅子は10個ほどで、その一番右端に田中くんが座っていた。

静かにと言われたのでゆっくりと田中くんに近付くと、彼は隣りの椅子を引いてくれた。


会釈して隣りに座ると、田中くんはぐっと身を寄せてきた。


「なっ…」

「あれ、俺の弟」


私だけに聞こえるようにそう囁いた。


「え、どの子?」


振り返ろうとしたけれど、後頭部を掴み阻まれた。


「ここからはあの柱で見えない。カウンター近くの2人掛けの席で、紺のスエット着てゲームしてる奴。俺がここに居るとは知らないから、バレたくない」


「え、なんで?」


田中くんに顔を寄せて問う。


「今、受験生なんだけどたまに勉強の息抜きでここでゲームしてるんだよ。本人は隠してるつもりだけど、母親は気付いててまだ中3で夜遊びは早いから、俺に見張りしろって、さ」


「それで…」


さっきの人差し指の意味が分かった。