ハンバーガーショップの明るい店内の窓際に座わりキャップった彼は、間違いなく田中くんだ。
窓越しにそう確認したが、本に視線を落としている彼は気付いていないようだ。
そして本を読むためか左耳にかけられた前髪のおかげで、彼の左目がよく見えた。
トントンと、軽く窓ガラスを叩く。
すぐに顔を上げた彼は目を見開いて私を見て、そして唇に人差し指を当てた。
静かにして、そう合図された。
「……」
待ち合わせをしてないにも関わらず会えたことが嬉しかったけれど、彼はそうでないらしい。
本を読む邪魔になったんだと落ち込んだものの、
「え?」
人差し指はそのままに、反対の手で手招きされた。
「どういうこと?」
ーー黙れ?と、来い?
相反する合図に首を傾げると、
田中くんは自身の隣りの席を指差した。


