愛ちゃんはクラスから嫌がらせを受け、廊下を歩けば他クラスの生徒からも非難されているにも関わらず、
新谷京介は相変わらず、飄々としていて、愛ちゃんを気にかけることもなく、人気者のまま君臨していた。
おかしい、そんなのおかしい。
せめて新谷くんだけでも、愛ちゃんの味方をすべきだと思うのに。
ーー午後11時。
明日の英語の小テストに備えて勉強しているが、頭の中の英単語がいつの間にか愛ちゃんのことにすり替わっていた。
自室の勉強机で頭を抱えるのはいつものことだけど、そもそも今日は勉強とは違うことで頭がいっぱいだ。
今日は愛ちゃんに向けて「死ね」という言葉が投げつけられ、それは挨拶のようにみんなが口にする言葉になった。
横田くんのように真面目に取り組む生徒の多くが、学校が行う愛ちゃんへの特別対応に不満を抱いており、今回の件で爆発したようだ。
後は高校生特有の苛立ちや、誰に向けていいか分からない思春期のもやもやした気持ちを彼女で晴らしたいだけなのだ。
学校側の特別対応を許せないのなら、同じ文句を大悟にも言えばいい。愛ちゃんにだけあたるなんて不公平だ。
事の発端である新谷くんにクレームを入れようと思ったけれど、あの呑気な声を聞いたら余計に頭にきそうでアドレス帳から連絡先を消した。


