私は思い出していた。

パパとの出逢いを





それは、今から2年前…


2月14日。聖なる夜、バレンタインデー。


私は友達と共に、ある俳優の出待ちをしていた。


「てか、マジ寒いって!風邪ひくってー!」

「もうまじヤバいよー、鼻水ーッ!」

「いつになったら出てくんのよー?」

当時、私達は高1だった。
髪を巻いて、化粧をして、制服は超ミニスカで。
プレゼントを握りしめて待っていた。

「でも絶対中にいるんだから、待っときゃ出てくるって!」

「しかしさ、すごいファンの数だねー。年齢層高くない?」

「うちらが断トツで若いだけだよー。もう11時だし、制服だし。ハハッ、浮いてるー」

「いーじゃん、逆に目立ってさー」

「おいしいかもねー…」


今考えると、そーとー恥ずかしいんだけど。

この時はなんか必死だったんだ。

孤独から抜け出したくて、
夢中になれるもの探しては追っかけて。



誰よりも幸福を願ってた。
自分が特別扱いされるのが好きだった。
人より幸せだ、って感じられるから。



「どうする、何て言う?」

「とりあえずさ、女子高生アピろうよ。」

「だよねー、女子高生はブランドだしねー」

そういう考えだった。
だって当然、女子校の女子高生なんてチヤホヤされ放題。

それ売るしかないよー。なんてね、


私は私立のお嬢学校に通ってる。



ギリギリで。


うちにはお金はない。
学費もギリギリ。生活もギリ。遊ぶ金なんて当然貰えない。


なんで入学したかって?

成功するため、



田舎に引っ込んでてもしょうがないじゃない、貧乏に変わりなし。

だから私は親の反対も押しきり、高校3年間にかけたの。


自力で這い上がってやる、って
誰よりも成功してやる、って…



…例え自分を売ってでも、ね