早いな。もう着いたんだ。


「 お釣り結構です。」


「ありがとうございました。」



タクシーから降りて、ガラスの扉を抜ける。
すぐ左に曲がると、エレベーターがある。金色の扉で、2つ。後ろには高級感溢れる大きな鏡。


ここに来るのは何度目だっけ。
覚えてないなー‥

でも 初めて来たときの事は覚えてるよ。



ねぇ、あなたは覚えてる?




あたしはね、あの時人生を賭けていた。
あなたに、賭けようとしたの。



どうしようもない地獄みたいな人生から抜け出したくて、

あなたに逢いに行ったんだよ、。