朱莉は俺の方を見ようとしない。
ベランダから見える景色を見ている朱莉。
「風邪ひくぞ?」
「うん」
少しして俺がそう言うと朱莉は毛布に体を埋める。
「寒いんだろ?」
「・・・」
「図星」
本当は抱きしめたい衝動を抑えながらごまかす俺。
「大丈夫だもん」
「バカ言え」
ごまかし続ける俺の隣で「・・・お腹すいた」とつぶやく朱莉。
「何が食べたい?」と聞くと「・・・うどん」と返事をする。
「言うと思った。用意できてる。」
俺は朱莉の思った通りの返事に思わず笑いながら、朱莉の右手を握り部屋に入る。

本当は抱きしめたい衝動はまだ消せないままだった。