結ばれない二人

笑顔を失った朱莉は今にも消えてしまいそうで余計に怖かった。

俺が離れたら朱莉は楽になれるのだろうか。
あの日の悪夢を見なくなるのだろうか。

少しずつ俺の胸の中で朱莉の呼吸が荒くなる。
明らかにパニック障害の発作だ。
「朱莉、ゆっくり息しろ。大丈夫。大丈夫。」
何度も朱莉がこうして苦しむのを見て来た。

その度に、俺の心は心を八つ裂きにされるように痛む。
きっと朱莉の痛みはそれ以上だ。

「大丈夫。」
全身をがくがくと震わせて、手足が冷たくなっていく朱莉の体を抱きしめる。

彼女が消えてしまいそうで怖い。