結ばれない二人

少しでも離れるのが怖い俺は、勝手に朱莉が就職したカフェのあるビルの法律事務所に就職を決めた。

駐車場に車を停めて、朱莉が会社に向かうのを俺はいつも見守る。

本当はカフェの中まで行きたい俺。
でもそれだけはやめてほしいと朱莉に断られた。

「じゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。鍵、ちゃんと持ってるか?」
「うん」
仕事が終わってからも一緒に帰っている俺たち。
先に朱莉の仕事が終わったら車で待てるように、俺の車の合鍵を渡してある。

ビルの入り口までは一緒に歩く俺たち。
でも周囲に気遣って距離をとるようにしている。