結ばれない二人

「大丈夫。仕事遅れる。」
「大丈夫。まだ時間ある。いいからほら。」
自分への憤りが朱莉に伝わらないように気をつけながら俺は朱莉の手を握り、指に巻いていた絆創膏を慎重にはがす。

痛々しい朱莉のケガ。

「できた」
救急箱を元の場所に戻してから、再び俺は玄関に戻る。

「行こう」
「うん」
いつものように朱莉の手を握り、ポケットに入れているカードキーで朱莉の部屋の玄関を閉める。
部屋の近くのエレベーターに乗り込んで抱きしめるようにして朱莉の体を支える。

最近寒い日が増えている。
朱莉が寒くないように、俺は車に乗る前に必ずエンジンをかけて暖房で車内を温めるようにしていた。