こんなに小さくて弱い朱莉を、傷つけて、余計に苦しめているのは俺だ。

自分への憤りを隠すように、エレベーターが着いた瞬間俺は扉を出て、ポケットから朱莉の部屋のカードキーを出す。

このカードキーは朱莉の母親から預かったものだ。

朱莉の部屋についてから、朱莉を先に部屋の中に入れる。
朱莉が靴を脱ぎやすいようにバランスを崩さないように手を握り支える。

「じゃ、何かあったらすぐ連絡しろよ?」
「・・・うん」
嘘だ。朱莉は何かがあっても俺に連絡をしないで一人で何とかしようとする。

そうわかっていても、いつだって俺は朱莉から頼られたい。

連絡してほしい。

また、何か言いたげな、今にも泣きそうな顔をしている朱莉。
このままここに居たら思わず抱きしめてしまいそうで俺は、朱莉に背を向けて部屋から出た。