口に当てられたコップから、スポーツドリンクを少しだけ口に含む。
「熱高いから病院行きたいけど、動けないか?」
修平の言葉に頷くと修平は「わかった。少し落ち着いてから行こう。薬持ってくる。」と私の体を慎重にベッドに戻してまた離れる。

そしてまたすぐに彼は私のもとに戻ってきて、私の体を起こし、口に薬をいれてくれる。

「仕事、行って。」
薬を飲み込んだ私が、目を閉じたまま言うと、彼は「バカか」とぶっきらぼうに言ってから、私の顔にかかる髪をかきあげた。

薬を飲めば少しはこのめまいが楽になることを知っている。
少しくらい目を開けられるかもしれないと知っている。

でもそれができないのは、目を開けて彼を見た瞬間泣いてしまいそうだからだ。

「少し眠りな。職場には連絡しとくから。」