「どうした?」
足音がさらに近づき、私のすぐそばに来る。
そして、私の額に遠慮なしに置かれる手。
その手の冷たさに心地よさを感じる。

修平は私の部屋のどこに何があるのかを熟知している。
私が体調を崩すことが多いこと、そして、その度に彼が看病をしてくれているから。

「待ってろ」
足音が離れて、少ししてまたあた慌ただしく戻ってくる。

耳に何かがあたり、電子音と共に熱が測られたことが分かる。
「飲めるか?」
少し体を起こされて、そのわずかな動きだけでも体がぐわんぐわんと揺れる。

まだ修平が部屋に来てくれてから一度も目をあけられていない。