次の日。
私は熱を出した。

こうして熱を出すと、いつも以上に自分がコントロールできなくなる。

気だるさに体を起こそうとしても、体を起こすことすらできなくて、目を開けることもできなくなる。

ベッドの上から、修平に迷惑をかけないように、メールを送る。

『今日は会社休みです。』

どうしたら彼にばれないかいつだって考えるけど、体調が悪くなると私の思考回路は驚くほど鈍くなってしまう。

そのメールから数分して、私の家のチャイムが鳴り、その音とほぼ同時に玄関が開く音がした。

またこうして私は修平の重荷になる。
迷惑をかけて、また私に縛りつけてしまう。

「朱莉っ」
慌てた様子の足音。
目を開けられなくてもわかる。
彼はきっと寝ぐせ頭で、息を少し切らしながら私の所へ来てくれたのだと。