「修平」
「ん?」
私が呼ぶとすぐに足を止めて振り向くあなた。

「どうした?」
うつむいたままの私の視線に、私よりも30㎝も背が高いあなたの顔が映りこむ。
「どっか痛い?」
名前を呼んでおきながら何も言わない私にあなたは戸惑ったように、額にしわを寄せて私を見つめて来る。
「何でもない」
あなたの名前を呼んだ自分に後悔をしながら、私があなたの熱い手から離れようとすると、あなたはもう一度強い力で私の手を握り返す。
「帰るぞ。」
そう言って、また私の代わりに前を見ながら歩き始めるあなた。

地面に向けていた視線を上げると、そこには大きな背中。