「おはよう」
「おはよう」
微笑みながら近づく私を待っている修平。

私が玄関について靴を履こうとすると、修平は私の腕をぐっとつかんで支えてくれる。

「ありがとう」
「うん」
靴を履き終えると、いつものように私の右手を握ろうとする修平。
「これ」
その瞬間修平が私の手を自分に近づける。

「・・・切っただけ。」
朝、缶のふちで切ってしまった右手の人差し指の絆創膏を見て、まるで自分のケガのように痛そうな顔をしながらほかにけがしているところがないかを見る修平。

「大丈夫」
思わず手を引き寄せて見られないようにしようとしても、修平の強い力に逆らえない。