後日譚
その1



あの劇的な初体験の夜から7年の歳月が流れた…。


その後、河合律也は工業系の高校を卒業すると、電気部品製造の大手子会社に就職した。
入社後はや2年が過ぎ、シフト勤務にもすっかり体がなじんで、そろそろ車でも購入をという余裕も出てきたところであった。
しかし…。


年頃でモテる方でもあった律也ではあったが、現在付き合っている彼女はなく、お一人様という状況が続いていたのだ。


実は、この会社に入った直後、3こ上の先輩OLと付き合い始めたことがあった。
交際3か月目…、カクテルバーでデートしたあと、気分が乗ってラブホテルに入ったのだが…。


結論として、彼はできなかったのだ。
無論、最初から最後までずっとという訳はなかった。
だが、愛撫から性交渉へといった段階でカレのモノが役立たず状態で、あっけなく試合放棄してしまったのだ。


要するに性的な相性ということに行きつくのだろうが、彼の変わった性癖からくる性戯とマッッチングできる相手となると、なかなか…、といった実情があった。
結局、その彼女はプライドが高く、この顛末1回で彼を捨てた。


実際、小橋チヅル以降、5人と付き合ったが、セックスでなんとかうまくいったのは二人だけであった。


それも、チヅル並みの”カタめ”はいずれも持ち合わせてはおらず、正直なところ、性的に律也を満足させる彼女には巡り合ってはいなかった。
で…、最近ではどこかあきらめ気味のモードに入ってい訳で…。


***


そんな夏の終わり…。


律也は会社関係の男二人と一杯やることになったのだが、その居酒屋は初めて来る店だった。
席に着くと、若い女性の店員さんがおしぼりを持ってやってきたのだが…。


「いらっしゃいませ…🎵」


その甲高いが滑舌の良い口調の長身女性は、間違いなく、あの小橋チヅルであった…。
二人はひと目交わして互いを承知できたが、その場では知らぬふりで通した。


彼女と言葉を交わしたのは、彼が屋外にあるトイレに出向いた時になる。