その1



性的に自分自身の異質性を、ほのかながらも確信し始めた13才の律也…。
年頃の少年にとって、その不安からのしかかるプレッシャーは、計り知れないものがあったに違いない。


ただし、そんな律也も、女の子への性欲は人並みに備わってはいた。
日常的な自慰行為も、そそる少女アイドルのハダカを想像して、通常通りの射精に至っていたし、街角で色っぽい女性を見ればムラムラした気持ちにもなる。


いわば、ユウトとは若干12歳でああいったアブノーマルな性行為を経験したが、少くとも本質として”男”で性的に欲情するという内面は持っていないと、彼自身が信じていたのだ。
つまり、彼の究極の懸念は、モロ交わるではなく、擦ることで欲情するという、この年で目覚めた”性癖”にあった…。


***


具体的には、いざ女性とベットインした際に、インサートで正常の性行為の完遂できるのかという点だった。


”オレにとっての擦りイキは、女性の性器への出し入れで到達できるのか…”


この時点での彼は、極めて明確にポイントアップができていたのだ。
であれば、中2の3学期後半、”恋する秋”をゲットし、当面の性的不安を解消させたい…。


彼のモチベーションは急速に高まっていた。
そして、その絶好の転機は地元の花火大会に赴いた時、訪れた。


”それ”は奇しくも、律也の心を依然としてときめかせ続けている、青島ユウトがもたらすこととなる…。