その1



”個室”には鼻を突く濁臭がもわっと漂い、狭い排泄の一室は、純真無垢なはずの12歳の少年には縁遠い不健全の空気で充満した。


それは背徳…?。


焦がれた相手との一途な想いに従った行為を遂げた後、二人の心と脳裏にはそのダークな2文字がのしかかっていた。


コトを終え、余韻を甘受したのち、律也とユウトはそれぞれあと掃除を一種、入念に1分以上かけて終えると、二人は元のカッコに収まり、その純心と屈折が交錯した空間から出た。


***


そのあと、児童館のエントランスに設置されている自販機で冷たいペットボトル飲料を買って、熱く火照った体の中へごくごくと流し込みながら、たった今、淫靡な一時を共にした同性同士は、立ち話となった。


「律也…、オレ、さっきのコトはさ、君だったからなんで‥。たぶん他の同性ならあり得なかった。この先も、ありえないと思うし‥。ゲイとかホモとか…、オレ、そういうのとは違うって気がするからさ」


ユウトはやんわりとした笑顔で、そう律也に告げた。
それはさりげない口調ではあったが、律也には、この時のユウトはやや口元が厳しかったように感じとれた…。


どうしても…。