「それはっ……」
こちらを睨みつける大きな瞳にじわじわと涙がたまっていく。
訳が分からず思考を停止していると、安奈の小さな口が再び開いた。
「もしかしてこんなボロボロな姿だし、ママとしてしか見てくれなくなったんですか? それか、他の女性に魅力を感じているとかっ……!」
「な、何を言ってるんだ!?」
さっきまで笑っていたと思っていた安奈が、急にぽろぽろと涙をこぼす。
出産した直後ということで情緒が安定していないというのもあるかもしれないが、
我慢強い彼女がここまで訴えてくるということは、相当思いつめていたのかもしれない。
(またやってしまった)
心の中で深いため息を吐きながら、力強く華奢な体を抱きしめる。
「駆さん」
「いや、そういうわけじゃない。むしろその逆で、母親になってからの安奈は信じられないくらい可愛くて綺麗だ」
「えっ……」
思い切って本心を告げた後、照れ臭い気持ちで安奈を見る。
「春乃と萌乃をあやしてる時の温かい眼差しや、二人の写真を眺めている時の無邪気な笑顔は堪らない」
安奈の顔が一気に赤く染まったのを確認したが、構わず頬を引き寄せ、唇を塞ぐ。
「駆さん」

