冷徹パイロットは極秘の契約妻を容赦ない愛でとろとろにする

「そうだなぁ、うーん……」

安奈は困ったように眉を下げ、黙り込む。
彼女の鈍い反応に思わず首を傾げた。
かれこれ出産してから、安奈の自由な時間が全くないはずだ。もっと喜んでくれることを予想していたのに。
とその時、大きな瞳が遠慮がちにこちらに向けられ、動きを止める。

「あの……もし可能なら駆さんとお出かけにいきたいです。ずっと、デートしてないし二人のゆっくりした時間がほしいなって」

ぽつりとこぼれた寂しげな声と甘えるような上目遣いに、胸を鷲掴みにされる。
と同時に抑えていた欲求が体の奥から湧き起ってくるのを感じ、心拍を落ち着かせるために息を呑んだ。

「安奈。分かった、分かったから。とりあえず、その日は全力でおもてなしさせてもらうから」

「えっ、あ、ありがとうございます」

「どこに行きたい? まずは洋服を買いに行くか? 出産してから買っていないもんな」

饒舌に話しながら彼女からさり気なく距離をとる。
妊娠中から母体の安静を第一に彼女とそういった接触はない。
この一年余り筋トレでごまかし、なんとかここまできた。

(今、安奈は疲れているんだ、爆発させるわけにはいかない)

がしかし、そんな俺の気持ちとは裏腹に安奈はぐいぐいと距離を詰めてくる。

「あの、なんで距離をとるんですか!? それにっ……最近、チューもしてくれないじゃないですか!」