「じゃあ、行ってくるよ」

いつ見てもスーツ姿がサマになる夫、青山くんが言う。

玄関先で、娘のリナが見ていないことを確認して、そっとキスを交わす。

「本当に、リナのことは陽子に任せていいのか?」

「うん。たぶん女親のほうが話しやすいだろうし、最善を尽くすからね」

青山くんは半年ほど前から、愛娘のリナに避けられて落ち込んでいる。

可哀想に。


さて、どうしようか…。

愛娘のリナは、13才の中学2年生。

最近、突然不登校になってしまった。

それに、ほんの少し前まではパパ大好きっ子だったのに…。

パパである青山くんは、加齢臭も全くなければ、スタイルもよく、妻の私にしてみれば、同世代の他の男性の誰よりもカッコいいと思うけれど、実の娘から見たら、そうは思わないのかもしれない。