花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない

「んで?腕時計とドレスが似合ってるって褒められて生徒会長に惚れちゃったわけ?」

「まさかっ!そんなわけないじゃない!」

「じゃぁ、なんでボーっとしてんだよ。」

「この腕時計とドレス、私の婚約者からの贈り物なの。生徒会長と私の婚約者、何かつながりがあるのかなぁ…って思って。」

「たまたまだろ。」

と言って真宮くんは気にせず食事を続けた。やっぱり、この学校の人たちは婚約者というワードを出してもまったく無反応だ。

「わたし、実は婚約者が誰なのか知らないの。チーフの色が紺色だったし、もしかして生徒会長がそうなのかなぁ~って!」

「…俺だって紺色のチーフだ。」

「それこそ、たまたまなんでしょ?」

「そうだっ。たまたまだ!だから会長のチーフの色も偶然ってことだ。料理冷めるとまずくなるぞ。」

「…偶然かぁ。」

お料理が冷めないうちに食事を再開したが特に共通する話題もないので無言が続いた。
静かに食事をしていると、『ブブッ』とスマホのバイブ音が聞こえた。

「あ、悪りぃ。俺だ。」

と言ってジャケットの内ポケットからスマホを取り出した。

 真宮くん、スマホ持ってんじゃん!咲良さんとかに連絡してくれれば良かったのに!!

何かメッセージが届いたようで画面を操作し、返信をしているようだ。

「修治が咲良と二人っきりにさせてくれってさ。」

「えっ!そうなの?柳くんと咲良さんが一緒ってことは深雪さんは独りぼっちってこと?」

「あいつなら、3年の男子と仲良くやってたぞ?」

「深雪さんにいつ会ったの?」

「ドリンク取りに行ったときに見かけた。」

「さっき、咲良さんも深雪さんも見かけなかったって言ったじゃん!」

「気のせいだろ?」

と言い、ニヤリと悪魔の微笑みを見せた。

「さっ、おなかも膨れたことだし、あぶれたもん同士で船内探検でもするか!」

さっさと立ち上がったので慌てて口を拭き追いかけた。

「ちょっと、探検の前にクロークによって!バッグ預けっぱなし!」

「あぁ、そうだったな~。んじゃ、先にクローク行くか。」

と言い、片肘を出すと反対の手で私の手を取り、自分の出した肘に置いた。