「ここの席の人と幼馴染なのね!だから色々知ってるんだ!」

「そうだね、時々スマホのアプリにメッセージ届くし。」

「どんな人なの?お仕事をお手伝いしてるって、この学校に通うくらいだから優秀だからってことでしょ?それでも授業とか進んでいくから大変じゃない?」

「うーん、勉強については問題ないかな〜。飛び級をしてアメリカでは大学まで卒業しているんだ。ここには友達と思い出作りをしたいから通ってるんだとさ。」

「すごい頭のいい人なんだ…。友達を作りたいのに人を寄せ付けないタイプなの?なんか矛盾してるね!」

「そうだね、変わったやつには違いない。ははっ。」

まだ見たことのない真宮くんについて二人で笑ってしまった。
柳くんはシルバーフレームのメガネのせいでどうしてもクールな印象になるが、こうやって話すと彼の柔らかさが伝わってくる。私にとってまるでお兄さんみたいに頼れる存在になった。

「あら、楽しそうね。何の話してたのかしら?」

私たちの笑い声につられて咲良さんがこちらにやって来た。深雪さんは保険委員会の仕事で今の時間はいない。

「ん?晴翔の話してた。琴乃ちゃんが晴翔の席を気にしてたから仕事で学校来れないって説明してたんだ。」

「『琴乃ちゃん』?柳くん、ちゃん付けは彼女の婚約者に失礼ですよ。」

「そうかな?琴乃ちゃんの婚約者はクラスメイトにちゃん付けされて怒るようなヤツなの?」

柳くんは私の方を見が、婚約者がいることには驚きはないようだ。やはり、咲良さんが言っていたようにこの学校では婚約者がいることはそんなに珍しいことではないのだろう。

「…どうなんだろう。実はどこの誰なのか名前すら教えてもらっていないの。だから、まったく知らなくて…。」

「えっ!?名前も知らされていないの??」

柳くんはとても驚いていた。