ついに、待ち遠しかった土曜日になった。
とっておきのおしゃれをして待ち合わせ場所に向かうと、いつもよりさらにかっこいい君がいて、ドキッとしてしまった。

君が組んでくれたデートプランは完璧で、どれもとても楽しかった。
ただ、手を繋ぐなどいつもしない事もしたので心臓が爆発しそうになった。
自分の心臓の音が聴こえていないか心配になるくらいに。


そんな楽しい時間もあっという間に過ぎてしまい、とうとう終わりの時間。
一緒に家へ歩いていると、君は突然立ち止まった。

「優陽、ちょっと寄り道していかない?」

そう言って、君が連れてきたのは展望台だった。

「見て。」

目の前には、息を飲むほど綺麗な夕日。
それから二人とも、夕日を無言で眺めた。
この景色を目に焼きつけるように、ただただ眺めていた。


そんな沈黙を破ったのは、突然の君の一言だった。

「俺、"ゆうひ"のこと好きだ。」

「っ!!」

これが夕日のことなのか、はたまた私の名前のことなのかは分からない。
だけど、この幸せな瞬間をもっと味わっていたい。
やっぱり君を、独り占めしたい。


それにね、気づいちゃったんだ。

君の耳が、真っ赤な事に。