「いるでしょ、ここに」

「だから、なんでって聞いてんの」

「やだからだってば」

「……この、理由になってねぇんだよ」


シーツを引きはがされて、メグくんはわたしに馬乗りになった。



……あー、これはこれは。



「これで逃げらんねぇだろ」

「さすが超絶プレイボーイくん。女を手玉に取るのが上手ね」

「……なんかすげぇ腹立つ」


ふふっと笑ってる隙に、手に握りしめていたスマホをサッと奪われた。


「あっ!」

「いつまでもナメてもらっちゃ困るよ、センパイ」


次はメグくんがフッと笑って、わたしのスマホから自分のスマホに着信をかけ始めた。



あぁ、もう。


こんな一瞬の隙だけで、わたしがここまで頑張って逃げた努力が水の泡だ。




……メグくんの連絡先なんて、知りたくても知りたくなかったのに。