ドクン、と、自分の心臓が大きく跳ねたのがわかる。


「これからは、生きたい理由を聞くことにする」



そう言って手が離れたその熱が、たまらなく惜しいと思ってしまうのは、もしかしてもう落ちてしまったからだろうか。




……俺が、この人に。



「あ、そういえば。別件でメグくんに聞いてみたいことがあったんだ」

「……ねぇ、話の流れぐちゃぐちゃなのわかってる?」



この人は覚えているんだろうか。

自分を生きる理由にしろと言ったことを。



「メグくんのつけてる香水の香りって、なんていうの?」

「……フゼアアンバリー」

「へぇ。わたしも同じのつけてみようかな」

「ねぇ絶対わかってないでしょ」



この人は自覚があるんだろうか。


本当に、あなたが俺のその理由になろうとしていることを。