「メグくんってさぁ」

「……何」


永遠に触っていられそうな猫っ毛を撫でながら、なんとなく思ったことを言ってみる。


「なんでもできちゃうんでしょ」

「は?」


たった一文字返した君の感情は、まだ読めない。

それでも、わたしはさらに続けた。



「運動も、家事も。たぶん、勉強も」


空手は黒帯。登山だってなんのその。

さっきの食器洗いだってものすごく手際が良かったし。

メグくんの噂の情報収集をしていたときも、"頭がいい"って聞こえてた。


「顔もいいから女の子にも困ったことがないんだろうし」

「……それはまぁ否定しないけど」

「あはは、そこは正直だ」


あ、枝毛発見。やっぱりこれだけ髪染めてたら痛んじゃうよね。


「だから、つまんないんでしょ」

「………」

わたしの中で核心だと思うところ突いてみる。