なんて感傷に浸るのはらしくないか。
お皿を流そうと蛇口に手をかけると、また気配がした。
一瞬また彼女が戻ってきたのかと気を張ったけど、そうじゃない。
「センパイ」
「っ、……あぁ、メグくんか」
本日2回目のメグくんの登場に、フッと何か力が抜けた。
「大丈夫?」
「ん?何が?」
「何がって、顔、怖すぎんだけど」
「……あはは、そう?気のせいじゃない?」
ヘラリと笑って見せて、誤魔化してみる。
でも案の定メグくんには通用しなくて、「貸して」と無理やり役割を交換させられた。
ジャー、という水の流れる音だけが聞こえる。
メグくんになんでここにいるのかと聞いたら「気まぐれ」と返された。
意識の集中なんかしなくても、やっぱりメグくんからは何も聞こえない。
それが今は、なんだか無性にありがたい。



