"この人、2年で有名な変わり者じゃん。"

"恵くんにまるで相手にされてないのわかんないのかなぁ。カワイソーに。"


チクチクと聞こえてくる彼女たちの心の声。


表情と心の中が完全に一致しすぎるていて、いっそ清々しい。



別にこんなの気にしてないし、これも想定内だ。

千堂恵に近づくというのは、こういう特典もついてきて仕方ないと思う。


「じゃあメグくん、また昼休みに会おうね」

「うん、もう来なくていーよ」


ヒラヒラと手を振ってわたしを追い払おうとする彼の心の中は、やっぱり今日も静かだった。



メグくんに会ってしまえば、もう1時間目の授業が始まるまで用はない。


上靴を履いて廊下に立つと、わたしはいつものように速攻でイヤホンを耳にはめた。


曲のチョイスなんて適当。なんでもいい。

毎日のことすぎて、たいして興味もない。


けど、これがないと流れ込んでくるから。

……聞きたくもない、他人の声が。