君の心が聞こえる。



予鈴まで、もうたぶんあと数分。


「──……あの、市原さん」


そろそろ教室に戻ろうとしたところで、わたしはさっちゃん以外の人に名前を呼ばれた。



「……えと、野上さん?」


同じクラスの女の子。最近になってやっとクラスメイトの顔と名前を覚えた。


下の名前は確か……カホちゃん、だった気がする。漢字が出てこないのはごめんなさい。



急に話しかけられて何を言われるかと少し身構えたけれど、その口から発せられたのはまさかの言葉だった。



「次の化学の授業、教室じゃなくて実験室に変更になったみたいだから、急いだほうがいいよ」

「え」

「みんなもう行ってるから」



伝えられたのは、次の授業の変更内容。わたしはただ目を丸くした。



「カホー!早く行こうよー!」

「うん、今行くっ!」



それじゃ、と、言い終わったらしい野上さんは、廊下の先で待っているのであろう他のクラスメイト達のところへパタパタと走っていく。



「カホ、なんでわざわざ市原さんに言いに行ったの?」

「別に黒板に連絡事項書いてたんだから言う必要ないのに」

「……でも、市原さん、遅刻したら先生に怒られちゃうから」