「あ、優ちゃん!」
教室に戻る途中の廊下で、名前を呼ばれた。
「さっちゃん」
「ふふっ、もしかして保健室の帰り?」
ニコニコ、というかニヤニヤしながらやってきた彼女に、コクリと頷く。
メグくんと付き合うことになったその日の夜に、わたしはすぐにさっちゃんへ報告の電話をした。
「優ちゃん、今すごく幸せそうだね」
「へへ。本当にさっちゃんのおかげだよ」
「えー、私は何もしてないよ」
菊島くんとメグくんが大事なお友達のように、わたしも、自分のことのように喜んでくれたさっちゃんを大事にしたいと心から思う。
何もしてないとさっちゃんは言うけど、うじうじして何も動けなかったわたしの背中を押してくれたのは、まぎれもなく彼女だ。
さっちゃんがいなかったら、私は今もまだうじうじしてメグくんからも逃げていたかもしれない。
そしてそのさっちゃんとの関係に背中を押してくれたのがメグくんというのが、運命か必然か。不思議な話だ。
「改めて。本当にありがとう、さっちゃん」
「あはは、なんか照れちゃうね」
もう一度彼女にお礼を言って、それがなんだか照れ臭くて。
ふたりで目を合わせてクスクスと笑った。



