あ、そうだ。
「ねぇ君。名前は?」
「オレすか?菊島啓一(きくじまけいいち)っていいます。自称千堂のマブっす」
「あはは。じゃあ、いっくんだね」
「いっくん?」
メグくんの友達に会えたのが嬉しくて話していると、急に後ろに手を引っ張られた。
視界が傾いて、わたしの目の前にはメグくんの少しムスッとした顔が近づく。
と同時にふわりと鼻を掠めたのは、わたしと同じ香り。
「『菊島』でいーよ、センパイ。変なあだ名付けられるのは俺だけで十分」
「えー、いっくんいいと思ったのになぁ」
「却下」
ばっさり切られて、ちょっとがっかり。
そんなに変かな、わたしのネーミングセンス。
落ち込むわたしをよそに、横からはフハッと笑い声が聞こえた。
「なるほど。これは千堂も絆されるわけだ」
「菊島。お前マジで黙って」
「あー、無理。オモロすぎ」
ケラケラ笑う菊島くんと、少し不機嫌そうなメグくん。
メグくんには失礼だけど、本当に友達なんだなぁと、ふたりを見ていてなんだか微笑ましかった。



