身支度を整えた私は自転車に乗り本屋へ向かった。
途中、彼のバイト先の前を通った。
シャッターが閉まっている。
日曜日は定休日なんだ、
言ってたもんね。
初夏の風が気持ちいいけど自転車をこいでいると少し汗ばむほどの陽気だった。
待ち合わせ場所まで来たけれど、
まだ10時35分…
少し早かったかな?
と、思っていると私の隣に自転車が停まった。
義雄「渡邉さん、もう来てたの?てかオレ時間間違ってたかな?」
彼が間近にいて思わず…
理佐「キャッ!!」
と、声を出していた。
義雄「あ、ごめん…びっくりさせちゃった?」
理佐「あ、うぅん…私こそごめんなさい」
義雄「え?時間間違ってた?」
理佐「うぅん、私も早く着いちゃってどうしようかな、て思ってたとこ」
義雄「あーよかったぁ~…待たせちゃったかな?と思って…」
そう言った彼も少しおでこが汗ばんでいた。
紺色のダンガリーシャツにDKNYの黒のTシャツを下に着て、ジーンズと黒のハイカットのコンバースを履いていた。
理佐「西野くんの私服初めて見たかも…」
義雄「あ、そうだっけ?」
理佐「カッコイイ…」
義雄「え、何?」
理佐「あ、何でもない! コンバース、お揃いだ♪」
義雄「あ、ホントだね♪」
理佐「あ、本屋…こっち」
と、言って私は本屋の方を指差し二人で自転車を押して歩き出した。
理佐「西野くんっていつもそんな感じなの?」
義雄「え、何が?」
理佐「服装! バンドとかやってるからもっと派手な格好なのかな?て思ってた」
義雄「あー…普段はいつもこんなだよ」
義雄「あんまオシャレとか興味ないし、それに服にお金かけるよりも楽器とかスタジオ代とかに飛んじゃうからね」
理佐「へぇ~そうなんだ…」
義雄「渡邉さんもいつもそんな感じなの?」
理佐「あ、うん…私も派手なのとか苦手で…」
義雄「あー、でもそんなほうがいいよ」
義雄「可愛いよ、似合ってる」
理佐「え、やだ…」
と、彼の言葉にドキッとして思わず視線をそらしててまった。
第三十一話へつづく…