義雄「ごめん、ちょっとこっち来て!!」
と、私の手を強く握り路地のほうへ入っていった……
理佐「え、どうしたの? 何?」
と、私は言ったが彼の足は止まらなかった。
そして路地の中ほどまで行くと彼はようやく立ち止まった。
理佐「痛いよ西野くん……どうしたの?急に……」
義雄「あ、ごめん………」
と、言って彼は私の方を向いて俯むいた……
理佐「どうしたの?」
と、もう一度私が聞くと彼は頭を掻きながら話し始めた……
義雄「あのぉ……」
理佐「ん………何……?」
義雄「オレ………」
理佐「……………?」
義雄「どっかで気持ちごまかしてたとこがあったかもしんない……」
理佐「気持ち……て?」
義雄「渡邉さんがいつも放課後、渡り廊下で本読んでたのも知ってたし……」
理佐「え……!?」
義雄「CDショップで声かけたのもたまたま偶然ってだけじゃなくて……」
理佐「え……………!」
義雄「オレ…ずっと前から渡邉さんのことは知ってたし……」
理佐「え………そうなの……?」
義雄「うん……だから………」
理佐「………だから……?」
義雄「オレ……やっぱり……気持ち………はっきり伝えたくって……」
理佐「………気持ち……?」
義雄「うん…………」
理佐「………………………」
義雄「………………………」
理佐「………………………」
義雄「オレ……やっぱり渡邉さんのことが好きだ!!」
「ドドンッ!!!!」
と、彼の一際大きな声とともに路地の奥から太鼓の大きな音も響いた!!
理佐「………………………」
義雄「………………………」
理佐「ごめん………」
第二百話へつづく…