義雄「じゃあ腹ごしらえも済んだし、そろそろ見て回ろっか?」
斉藤「また人混みかき分けなきゃいけねぇのか……」
橋本「まぁまぁ、山鉾見るのが祇園祭の醍醐味だからな」
義雄「みんな大丈夫?行ける?」
尾関「うん、行こう行こう♪」
そしてまたみんなで山鉾を見に移動し始めた。
人気のある大きな鉾のまわりは写真を撮る人などでかなりの混雑だが、
少し外れて小さな山の辺りはまだ肩をぶつけて歩くほどの人混みではなかった。
理佐「色々なのがあるんだねぇ~」
由依「あっ!上にカマキリが乗ってるよ!」
義雄「あれ蟷螂山て言うんだよ、別名カマキリ山」
由依「詳しいねぇ~」
義雄「うん、毎年パンフレットもらって読んでるから……たぶんどこかで配ってるから見つけたらもらってくるよ」
由依「優しいねぇ~……理佐の分だけじゃなくてあたしたちのもね」
義雄「お、おぅ……当たり前じゃん」
理佐「こっちのは?何か鍬持ってる人と子供?…の人形があるよ」
義雄「あー、それは郭巨山て言って中国の故事が題材になってるんだよ」
茜「へぇー、ホント詳しいね」
義雄「この山鉾はほとんどが中国の故事に因んだものばっかだよ」
由依「へぇー……すごいね」
美波「理佐のこともそれぐらい詳しくなってあげてね」
義雄「うぉっ!何言ってんだよ!!?」
理佐「ちょっと美波ぃー!」
尾関「ホント二人ってどうなってんの?」
義雄「いや、どうもなってねぇしっ!」
理佐「…………」
美波「ほらぁー!理佐が悲しい顔してるよー」
義雄「え…………」
理佐「え、やだっ!してないよぉー」
茜「そうだぞ!祇園祭は彼女になってくれないぞ!」
義雄「いや、そんな……別に彼女なんて……」
斉藤「おーぃ!お前彼女欲しいって前から言ってたろー?」
義雄「いやっ、お前っ!何言ってんだよ!そんなこと言ってねぇしっ!」
茜「岩本くんさぁ、西野くんてどうなのよ?」
岩本「あ、うん……割りとこんな感じでいつもいじられてるよ」
茜「いや、そうじゃなくて……」
秋元「まぁギターにばっかり恋してたからなぁ~……」
岩本「うん、確かに!」
秋元「だからあんだけ上手ぇんだけどなー」
岩本「うんうん、確かに!!」
秋元「もうそろそろ本気の恋してもいいんじゃねぇかー?」
義雄「うぉーぃ!何言ってんだよ!」
茜「おっ! 秋元くんいいこと言うねぇ~」
美波「そうだそうだ!」
義雄「いや、もうそんなの……どうでもいいよ!」
と、彼は少し早や歩きで進み始めた。
第百九十八話へつづく…