放課後、由依と一緒に三組の教室へ行くと彼と美波とおぜちゃんの三人が集まっていた。
由依「あれ?あたしたちだけ?」
美波「あー、そのうち来るんじゃない?」
そして私たちも近くに座って教科書とノートを広げた。
美波「よしおくん今日もカンニングペーパー作るの?」
義雄「うおっ!お前何で知ってんだよ!」
美波「だって理佐が言ってたもーん!小さな紙に一生懸命に書いてたって」
義雄「え……」
と、彼が私の方を見た。
理佐「うそっ!私言ってないよぉー!」
と、慌てて否定すると美波が舌を出して笑っていた。
理佐「ちょっとぉーもぉー!隠れて見てたんでしょ!?」
義雄「え、昨日見てたの?」
尾関「あー……見てたって言うかたまたま通りかかったら……」
理佐「うそばっかり!!」
と、話していると……
「なーにケンカしてんのよー?」
と、茜と斉藤くんが一緒に入ってきた。
尾関「あれ?二人付き合ってんの?」
茜「バカッ!同じクラスだから同じタイミングで来るの当たり前でしょ!」
斉藤「オレもっとおとなしい子が好みだけどなぁー」
茜「何て!!!?」
斉藤「だいたいオレ嫁いるからなー」
そして続いて橋本くんも入ってきて……
橋本「ちぃーす……秋元と岩本っちゃんは塾があるから来ないってよ」
そしてみんなそれぞれに席に座り勉強道具を広げて勉強を始めた。
美波「ねぇねぇ誰か数学教えてくんなーい?」
橋本「数学はよしおが一番ましだろー」
義雄「え、オレ範囲すら知らないけど」
由依「おぃおぃ、もう明後日から試験始まるぞ」
美波「式と証明のところだよー!因数分解ぃー! あと図形と方程式ぃー!」
義雄「おー!因数分解は得意だぞー!教えてやるよ」
義雄「方程式はカンペ作っときゃやり方さえ分かれば……」
と、彼が私の方を見たので私は彼のことを睨み付けた。
義雄「あーっとぉ……方程式はちゃんと覚えないとな……ハハハ……」
美波「まーたカンニングペーパー作ってるのー?」
茜「ちょっと西野くん、カンニングしてるの!!?」
義雄「あ、いや……ハハハ……」
美波「カンニングペーパーてどこに隠してるの?」
義雄「え?消しゴムのカバーの内側とか、消しゴムに直接書いたり…あとシャーペンの芯を入れるところと本体の隙間に丸めて入れたりとか……それに筆箱の二段の裏のところに張り付けたり、冬場は長袖の内側とかジャケットの内側とか……隠し場所なんていっぱいあるさ!」
美波「へぇー、すごーぃ」
と、美波がシャーペンをかざして覗き込んでいた。
茜「こらこら美波!!良い子は真似しちゃダメだよ!!」
美波「しないよー!でも面白いねー♪」
茜「そんなこと考える暇と作る暇あったらちゃんと覚えればいいのに!」
由依「ホント、たいした努力だよ」
茜「ちゃんと勉強して大学行かないと理佐大学で誰かに口説かれちゃうぞ!」
義雄「え………」
理佐「え……ちょっと茜ー!」
茜「まぁでも昼コン出たから声かけてくる男子も出てくるんじゃない?」
茜「ね!理佐っ!」
理佐「え……そんな人いないよぉー」
茜「今はね! うかうかしてるととられちゃうよ」
と、全員が彼の方を一斉に向いた。
義雄「ん? 何? 何の話?」
由依「おいっ!」
茜「もぉー!おとぼけなんだからー!!」
と、由依と茜に一斉に突っ込まれていた……
第百六十九話へつづく…