私は慌てて図書室を飛び出すとみんなが廊下で話していた。




茜「理佐!?」


と、言う茜の呼び掛けにも構わずそのまま走り去った。



そして続いて彼も出て来た。



義雄「渡邉さん……!」

茜「ちょっと!? 理佐泣いてなかった!?」

義雄「いや、わかんないけど……オレ、何か変なこと言っちゃったかな?」

美波「もぉー!追いかけなよー!」

義雄「え……あ、うん……」



自転車置き場まで周りを気にする余裕もなく走って来た私は「ハァッハァッ…」と息が上がっていた。


「渡邉さーん……」

と、呼ぶ声がして振り向くと彼も走ってきていた。


義雄「渡邉さん、ごめん……オレ何か変なこと言っちゃったかな…?」

理佐「うぅん……そんなことない……ただちょっと……」

義雄「ちょっと……?」


理佐「……うん、大丈夫」




「理佐ぁー!」


と、また呼ぶ声がして振り返ると茜が走ってきた。


茜「あれ? 理佐、泣いてないじゃん?」

理佐「泣いてないよぉー、何で?」

茜「え?だって飛び出して行ったから……」

理佐「いや、あれは……」

義雄「だからあれはオレが……」


理佐「……うぅん、大丈夫」

と、顔を見合わせていると……


茜「うん、まぁ二人がいいならいいけど……」



「理佐ぁー!」


と、残りのみんなも走ってきた。



由依「大丈夫?」

理佐「うん、別に何もないよ」

尾関「ホントに?」

理佐「うん、大丈夫だって」


美波「まぁ理佐がそう言うなら…」


美波「女の子泣かすなよぉ~」

と、美波が彼を肘でこつくと……

義雄「いや、泣かしてないし!」


義雄「てか、うん……ごめん……」


茜「もぉー、ホントお騒がせなんだからー!」


理佐「ところでみんな何で図書室にいたの?」


全員「あ………」

理佐「ん……?」



全員「逃げろーー!!」


と、みんな走り去って行ってしまった。


理佐「ちょっとぉー!!もおー!」

義雄「アハハッ!なんだあいつら」



と、また二人が取り残されてしまった。







第百五十一話へつづく…