私は髪をほどき少しうつむき加減に教科書に視線を落とした。
義雄「あれ……?」
理佐「え、何……?」
義雄「渡邉さんの髪おろしたところ初めて見たかも……」
理佐「え、やだ……おかしいかな?」
義雄「うぅん、それもいいなぁ~……かわいい」
理佐「え……やだ……ちょっと……」
義雄「オレ、ショートカットの子が好きなんだけどなぁ~」
理佐「え……」
義雄「うん、でも長いのもいぃなぁ~て思ってきた」
理佐「もー!そんなこと言ってないでちゃんと勉強しようよ!」
義雄「あ、ごめんごめん…そんなに怒んないでよ」
理佐「もぉー!」
義雄「オレだって好きな女の子が好きな髪型してくれると嬉しいからさ……」
理佐「え……好きな子、て……」
義雄「え………」
と、ノートを写していた彼の手が止まった。
義雄「オレ……」
理佐「え、やだ……ちょっと……言わなくてもいいよぉ……」
義雄「うん……でもきっとその子……他に好きな子いるんだよ……」
理佐「え……そんなの……確かめたの?」
義雄「いや……それは……」
理佐「じゃあわかんないじゃない」
義雄「じゃあ………確………か………めて………みよう………か……な……?」
理佐「え……どうやって?」
義雄「だから………今………」
理佐「……え………?」
義雄「……………」
理佐「………………」
義雄「やっぱ勉強しょっ!!」
「ズコーッ!!!」
と、前後の席の生徒たちが椅子から一斉に転げ落ちた!!
「言わんのかーーい!!」
と、その生徒たちが声を合わせて言うので…
見るとお互いのバンドメンバーが勢揃いしていた。
理佐「ちょっと!!みんな……」
美波「わー!!バレちゃったー!!」
「ちょっとあなたたち!!騒がないで下さい!!」
と、図書委員がこちらへやってきた。
斉藤「わっ!ヤベっ!逃げろー!!」
と、全員が図書室を出て行ってしまった…
図書委員「あなたたちの知り合いですか?」
義雄「あ、いや……すいません…」
図書委員「あなた、前に図書委員やってた二年の渡邉さんですよね?」
理佐「あ、はい……」
図書委員「騒ぐのならあなたたちも出て行ってもらいますよ」
理佐「すいません……」
と、怒られ小さくなりながらもまた勉強を始めた。
彼も…
義雄「あいつらいつから居たんだよ!?」
と、言いながらノートを写し始めた。
さっき彼……
「今…」て………
第百四十九話へつづく…