由依「ちょっと理佐ー!どこまで行くのー?」
と、由依が追いついてきた。
私は我に返り…
理佐「あれ…? ここどこ?」
と、辺りを見回すともう目的地の本屋の近くまで来ていた。
由依「ちょっとあんた危ないよ」
理佐「え……あ、ごめん…」
由依は「はぁはぁ」と息を切らしていた。
由依「何なの?あんたのそのパワー……」
理佐「え…? あ、ごめん…」
理佐「だって……」
由依「西野くん、バイトかな?」
と、由依が言っていたが私は足元を見てまだ彼がそこにいるようで顔が火照っているのが自分でも分かった。
由依「話せるチャンスだったんじゃないの?」
と、由依が言ってきたが…
理佐「えー!だってぇ……」
理佐「あんなに急に現れたら……」
由依「いや、まぁ確かに予想外だったけど…」
由依「それにしてもあんなに急いで逃げ出さなくても…」
理佐「え?逃げたんじゃないよぉー…」
由依「西野くん困ってたよ」
理佐「え、うそ?」
理佐「でも………」
由依「あとで電話して謝っといたら?」
理佐「え?私…電話番号なんて知らないよぉー」
由依「……西野くんってホームルーム3組だっけ?」
理佐「あ、うん…確か………」
由依「あー、じゃあ美波と同じクラスか…」
由依「連絡網で調べてもらおうか?」
理佐「わっ!美波…… ダメだよそんなの!」
理佐「何で?てなるじゃん!」
由依「そりゃぁ『理佐の惚れた男だから』て言うじゃん♪」
理佐「ちょっとぉー!!」
由依「アハハっ! うそうそ…」
由依「何か適当にさ、言い訳作っちゃえばいいじゃん」
理佐「例えば?」
由依「例えば……」
由依「この前の木曜の軽音の練習の後、使った教室が荒れてたから美化委員の顧問の先生が連絡しとけって言ってたから…とか言ってさ」
理佐「えーー!!」
理佐「てか、それ由依が西野くんに連絡するってこと?」
由依「なんでやねんっ!!」
由依「て、思わず関西弁で突っ込んでしまうわ!」
由依「それは美波から聞き出す口実で電話するのはあんたでしょ!!」
理佐「えーー!!私、美化委員じゃないしー!」
由依「いや、あのねぇ…」
由依「だからそれは口実だからあんたが美化委員の仕事しなくていいでしょ!?」
由依「普通に『今日はごめんなさい』でいいじゃん」
由依「そっから話し膨らませていけば…………」
由依「あっ!!!♪そうだ!!!♪」
理佐「え!? 何? 由依…怖ーぃー!!」
由依「日曜日デートに誘っちゃえば?」
理佐「えーーーーーーー!!!!!!!」
理佐「無理ムリ無理ムリ無理ムリ無理ムリ!!」
理佐「そんなの出来ないってーー!!」
由依「何言ってんの!せっかく電話するんだしさ!」
理佐「えー!!無理だよぉー………」
由依「えーとぉ…どこに誘い出すかだな…」
理佐「いや、ちょっとぉー……勝手に話し進めないでよぉー!」
由依「だってあんた放っといても全然ダメじゃん!」
理佐「えぇー…ダメとか言わないでよぉ…」
由依「いいんだよ、男なんて女から誘われて悪い気するやつなんていないんだから」
理佐「そぉかなぁ~……」
由依「あんた本貸すとか言ってたじゃん!?」
由依「だったらとりあえず本屋デートとかは?」
理佐「え?本屋……?」
由依「うん、それでお薦めの本言ってそれの映画とかにそこで誘っちゃえばいいじゃん!」
理佐「え~何それー?」
理佐「じゃぁ……ロバートデニーロの『FALLING IN LOVE』とか?」
由依「いや、あんたあれ不倫の話でしょ?」
理佐「あ、やだっ…じゃあ斉藤由貴の『恋する女たち』とか?」
由依「あー……ちょっと女の子女の子してない?」
理佐「えー? んー……じゃあ……。」
理佐『彼のオートバイ、彼女の島』!!
由依『彼のオートバイ、彼女の島』!!
と、二人がハモった!!
理佐「片岡義男!!それいぃー!!♪」
由依「てか、あんた『義男』でピンときたでしょ?」
理佐「え、いや違うよぉー!!」
由依「ほらぁー!みるみる顔真っ赤になってんじゃん!!」
由依「可っ笑しぃーー♪」
理佐「やだぁー!!もぉー!からかわないでよぉー!!」
由依「よしっ!!決まりね!!」
由依「じゃぁあたし今晩あんたん家泊まりに行くわ!!」
由依「お母さんに行っといてね♪」
理佐「えーーー!!!!ちょっとぉー!!」
理佐「もうそれ決定なのーー??」
由依「うん、決定ね!♪」
理佐「えーーーーーーー!!!!!!!」
と、由依はもう私の話しを聞く耳もつ気など全くない様子だった………
第十三話へつづく…