「その通りだ。
だが、何もあの二人の中から結婚相手を選べと言っているわけではない。愛のない結婚を孫に強要したい訳でもない。
ライラ――――これからの国を――――お前を支えるに相応しい男を探せ。それが今のお前に課せられた、至上命題だ」


 おじいちゃんは至極真剣な表情でわたしを見つめていた。わたしはゴクリと唾を呑みつつ、少しだけ口角を上げる。


「…………って言いつつ、王位を継ぐための勉強も頑張らなきゃいけないんでしょう?」

「当然。それが歴代王位継承者が辿って来た道だ。ライラの場合、少しばかり険しい道のりになりそうだがな」


 そう言っておじいちゃんは小さく笑う。


「そうね」


 暗闇の中、わたしは己の進むべき道を想像する。こうなった経緯は不本意だし、完全に納得したわけじゃない。だけど、引き返すことができないのだから、前に進み続けるしかない。


(よしっ)


 気持ちを新たに、わたしはゆっくりと立ち上がるのだった。