「シルビア様はその点、姫様のお話し相手として最適だと思います。
優しく面倒見の良い性格ですし、陽気で、取り留めの無いお喋りがお好きな方です。また、礼儀作法や社交術にも長けていらっしゃいますから、姫様の良い練習相手になってくださると思います。
何より、シルビア様自身が、幼い頃にいきなり城に連れてこられ、寂しい時期を過ごしていらっしゃいますので、きっと今の姫様に寄り添ってくださるかと」


 アダルフォの口調は本当に淡々としていた。もっと恩着せがましかったり、自慢気にしても良い場面だろうに、全然そういうのを感じない。本当にわたしのことを考えて、提案してくれたんだろうなぁと思う。


「……ありがとう、アダルフォ。早速日程調整をお願いできる?」


 微笑みながら尋ねると、アダルフォは「承知しました」って、いつもの様に恭しく頭を下げる。愛想のない彼の表情が、何だか途端に可愛らしく感じられた。