「先日、姫様が『お茶をする友達が欲しい』と仰ったこと――――あれは姫様の本音でございましょう? けれど、今のところバルデマーがその役目を果たしているとは言い難いですから」


 そう言ってアダルフォはわたしのことをまじまじと見つめる。わたしは思わず小さく噴き出した。


「そうね……男性って生き物は本当に、意味のないお喋りは苦手なんだと思うわ。目的と結論が見えないと、イライラしてしまう……っていうか」


 それは、あれこれ受けまくった講義の中で、チラリと聞きかじった知識だ。わたしは女だし、目下のもの――――臣下と話をするときは、結論から口にすることを特に意識するように、って言われた。
 バルデマーはわたしと会っている間、終始ニコニコと笑っているし、相槌も都度打ってくれるけど、実際は結構焦れているように思う。


(相手が『楽しくなさそう』っていうのは、割と感じ取れるものだよね)


 しみじみとそんなことを考えながら、わたしは心の中でため息を吐いた。