「――――――まさか、姫様に未だ打ち明けていらっしゃらないとは」


 騎士はそう言って大きなため息を吐いた。どこか呆れたような表情だ。


「……申し訳ございません。その方がこの子にとって幸せだと思ったものですから。まさか、こんなことになるなんて――――」


 お父さんは顔をクシャクシャに歪め、そんなことを言う。


「どういう、こと?」


 尋ねながら血の気が引いた。地面が唐突に崩れて無くなるような心地がする。


「ライラ様――――あなたは亡くなられたクラウス王太子殿下の実子……我が国の正当な後継者なのです」


 壮年騎士の言葉に続くようにして、他の騎士達が一斉に跪く。わたしは大きく目を見開いた。


「そんな……! じゃあ、お父さんはわたしのお父さんじゃないってこと?」

「…………」


 お父さんは無言だった。無言は肯定を意味する。わたしは思わず立ち上がった。