言いながらわたしは涙が出てきた。だけど、感情論で訴えた所できっと国王様には届かない。だって感情で物事を考えていたら、きっと王様なんて務まらないもの。そんな風にしていたら心臓が幾つあっても足りない――――そう分かっている。


(だけど、それでもわたしは……)

「言っただろう。お前を城に迎え入れられない事情があったんだ。それをこの場で全て話すつもりはないし、おまえに選択権は存在しない。ライラ――――お前は王族に生まれたのだ。王族に生まれるとはそういうことだ」

「わたしは王族なんかじゃありません!」


 最初から姫君として育てられていたなら、不条理なことも受け入れられたかもしれない。だけど、今更時計の針は戻りはしない。わたしは平民として育てられた、ただのライラだ。それ以上でも以下でもない。


「話は以上だ。
アダルフォ――――ライラを部屋から出さないように」

「畏まりました」


 そう言っておじいちゃんはランスロットと一緒に部屋を出ていく。扉が閉まったその瞬間、わたしは思わず泣き崩れた。