(――――何だかいやぁな感じ)


 わたしは貴族でも王族でもないし、言えること、言えないことがあるのは分かる。だけど、こんな風に一部だけを見せられて種明かしをされないと、置いてけぼりにされているみたいですごく気持ち悪い。そういうのはわたしが帰ってから好きなだけすれば良いのにって思う。


(……ん?)


 その時、ふと視線を感じて、わたしは顔を上げた。


(うわぁ……綺麗な人)


 お月様みたいな淡いブロンドに、神秘的な深い青色の瞳の男性がそっとこちらを見つめている。ランハートも華やかでカッコよかったけど、こっちの男性の方がサラッとしているというか、絵本に出てくる王子様みたいな感じ。ドキッとして思わず目を逸らしてしまった。


(あっ……こっちに来る)


 目を逸らすなんて、もしかしたら物凄く失礼な行為だったのかもしれない。そう思いつつ、助けを求めておじいちゃんを見上げる。


「うん? どうした、ライラ」


 別の貴族と話していたおじいちゃんが、小さく首を傾げる。ややして「ああ」と言いながら、おじいちゃんは先程の男性に向かって微笑んだ。