「伯母上の攻略方法?」

「そう。甥っ子のあなたなら色々と知っているでしょう? 趣味とか、好きなモノとか、話題とか、そういうの」


 翌日、城内でランハートを見つけたわたしは、彼を私室へと連行した。
 将を射んとする者はまず馬を射よ、じゃないけど、周囲から情報を集めるのは重要なこと。しかも、ランハートは人付き合いが上手いし、ゼルリダ様にも気に入られているみたいだから、きっと参考になると思ったのだ。


「そうですね……伯母はああ見えて、かなりシンプルで攻略しやすいタイプだと思いますよ?」

「やっぱり!? そこのところ、もう少し詳しく」

「伯母は表情が硬いし、言葉もきつめだけど、根は悪い人じゃない。素直になれないだけの可愛い女性なんですよ。ライラ様もそう感じたから僕のところに来たのでしょう?」


 さすが、ランハートは鋭かった。コクリと頷きながら、わたしは小さくため息を吐く。


「なんというか、損するタイプよね、ゼルリダ様は」

「そうそう。人のためにしてあげたことを『あなたのためじゃありません』なんて平気で言い放つ女性ですからね。素直に認めて感謝されたら良いのにそうはしない。多分恥ずかしいんだと思います。
まあ、プライドが驚くほどに高いので、取り扱いが難しい人であるのは確かですが」

「なるほど……」


 素直に感心していたら、ランハートは少しだけ遠い目をした。