「ねえ、わたしは誰を選ぶべきだと思う?」


 考えれば考えるほど、どうしたら良いのか分からなくなる。
 おじいちゃんが挙げた候補者たちは、それぞれ皆素敵だし、甲乙つけがたいんだもの。


「――――いっそのこと、全員と結婚してみるか? そうすれば迷うことも悩むこともないだろう?」

「なっ! 何言ってるの、おじいちゃん! そんなこと、出来る筈が無いでしょう? 大体、子どもが出来たところで、夫が複数人居たら誰の子か分からなくなっちゃうし、そもそも倫理的に考えて……」

「ライラよ、冗談だ」

「~~~~っ!」


 おじいちゃんはクックッと喉を鳴らしつつ、困ったように笑っている。
 ムカつくし、恥ずかしいし、頬が真っ赤だ。
 正直、おじいちゃんが冗談言うなんて思わなかったんだもの。わたしは悪くないと思いたい。


「しかし、一言アドバイスをするならば」


 一頻り笑った後、おじいちゃんはそう言って、静かに目を伏せる。


「プロポーズはきちんとさせた方が良い。国への想いだけでは結婚生活は上手くいかん。お前自身を求め、しっかりと愛してくれる男ならば、国を末永く導くことも可能だろう」

「…………簡単に言ってくれるなぁ」


 プロポーズなんて、強要出来るもんじゃない。

 というか、彼等がわたしを愛するなんてこと、あるのだろうか? 人として、求めてもらえるのだろうか?

 更なる深みにはまってしまい、わたしは密かに頭を抱えた。