「ねえランスロット。護衛騎士達は――――アダルフォは一体いつ、訓練をしているの?」


 彼は普段、わたしから殆ど離れることがないのに、日々訓練を重ねている騎士達と力量差は全く感じない。鈍っている様子も無いし、現役バリバリって感じだ。
 そもそも、一応わたしは姫君なわけで、アダルフォがここに居る騎士たちの中でも一、二を争う手練れには違いないのだろうけど。


「アダルフォなら、姫様がお休みになった後、毎日剣を振るっておりますよ」

「……毎日?」


 そんな、馬鹿な。
 だって、わたしが休む時間は深夜に近い。朝だって、食事の時間には護衛に付いてくれているし、これじゃアダルフォの休む時間が全然ないじゃない。


「そんな……それが騎士団の決まりなの?」

「いいえ、当然そんなことはございません。けれど、アダルフォはああ見えて、熱くストイックな男です。日中の交代要員の騎士を用意すると何度も伝えましたが、活用しようともしません。聖女シルビア様の護衛を務めている時は、これ程ではございませんでしたが……」


 何だか含みのある物言いに、わたしは少しだけ目を瞠る。
 アダルフォは決して口数が多い方ではない。何を考えているのかあまり教えてくれないし、わたしも十分に読み取れていないと思う。だけど――――


「姫様を護りたいのだと申しておりました」

「…………そうでしょうね」